主訴:前歯の歯並びがが気になる
初診時年齢:8歳
性別:女性
診断名:叢生を伴う過蓋咬合
抜歯/非抜歯:混合歯列から永久歯列になった時点で再診断
装置名:可撤式装置 → マルチブラケット装置
治療費用:約44万円(税込)と来院時に調節料5,500円(税込)
治療期間:4年6ヶ月(現在に至るまでの期間)
治療に関する副作用/リスク:歯の移動時の痛み 装置による口腔粘膜の口内炎
今回紹介する症例は小児の混合歯列期です。 ”下顎の前歯の歯並びがガタガタ” だということで来院されました。
初診時ではほとんどの小児矯正の主訴が前歯に関するものなのですが、この症例では下顎の前歯に加えて下顎の側方歯が殆ど見えない(矢印)ほど全体のかみ合わせが非常に深い(過蓋である)ことがわかります。
さらには下記の正面写真の矢印で図示しましたように外部から内側へと押されたような上顎骨が独特な形状をしております。下顎を診てみますと歯列が非常に狭くなっており舌が常に上から覆い被さっている状態です。
このように、上顎歯列に関しましては唇と頬の筋肉の力が歯列に非常に強く加わっているため、すぼめられたようになってしまったと考えられます。
そこで診断では歯列形状を保つために必要な内外にかかる唇、頬、舌の筋肉のバランスを整えるべくMFTを併用したマウスピースタイプのトレーナーでの治療からスタートすることにしました。
マウスピースタイプのトレーナー
トレーナー(マウスピース)による治療開始から10カ月経過した状態です。下顎前歯の叢生はかなり改善してきました。
上顎歯列を側方に拡大して前歯のスペースを少しずつ得るように治療をすすめました。
上顎の前歯は一時的にマルチブラケットによる治療で前歯を並べました。この装置の装着は6カ月でした。
治療開始時より4年経過した現在の口腔内です。上下顎ともに第2大臼歯が未萌出ですので、現在はMFTとトレーナーの使用を行いながら第2大臼歯の萌出を待っている状況です。今後、第2大臼歯の萌出位置に異常がある場合にはマルチブラケットによる治療が必要になるかもしれませんが、このまま上下顎すべての第2大臼歯が無事に萌出完了すれば治療終了となります。